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カテキヨースタッフより!

2024年10月10日

【大学受験】論理的思考のヒント#3「弁証法的昇華」【現代文】

皆様こんにちは、青森浪打校教務主任の直井です。

KATEKYO青森のホームページでは
県内のスタッフが毎日代わる代わるちょっとした記事を書いています。

今日は私直井が担当している記事を紹介します。

前回の記事は▶こちら

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何でも突き破る最強の矛と、どんな武器でも貫通しない最強の盾を売る
楚の国の商人に対し、客は問う。
「その矛でその盾を突いたらどうなりますか。」
商人は答えることができなかった、という「矛盾」という逸話。
この例であればどちらかが「最強」であるということが嘘となってしまう。

しかし、「相対しながらもどちらも真である」事実があるとすれば、それはいったい何だろうか?


すべての人が「平等」であろうとする国の人が3人いる。
彼らの身長は「大」「中」「小」で、「中」「小」の人は高い塀の向こうを見ることができない。
そこで彼らに梯子を与えることにした。
「中」に1段、「小」に2段の梯子を与えると全員が「平等」に塀の向こうが見られる。
しかし、「大」がいう。
「俺にだけ梯子をくれないなんて、ひどい不平等だ」と。

あちらを立てればこちらが立たず。
「すべての人を同じ高さで見ることができるようにする」平等と、
「すべての人に同じものを与える」という平等。
どちらも「平等」であるが、相対しており、同時に成立することができない。
このような問題は世の中にたくさん存在しているが、これを解決する手段は
我々は持ち合わせていないのだろうか。

ドイツの哲学者ヘーゲルが提唱した「弁証法」という方法がある。
人間が考えるものには必ず相反するものが存在する。
それらが互いに議論でぶつかってより高次な考えに昇華させる知識方法論だ。
「正」と「反」をポジティブに闘わせることで「アウフヘーベン(止揚)」が起こり、「合」すなわち自分の能力・知識を超えたものが生まれていく。

ジェンダーの問題、エネルギー問題、少子化問題、難民問題、
現代社会が抱える問題も、「正」「反」の二項対立で、それが互いに複雑に絡み合っている。
だから賛否両論存在しており、どう決断を迫られている。

互いの否定をもって物事を進めようとすれば、何も進んでいかない。
「正」「反」が互いに矛盾点を指摘しながら、互いに内容を深めていく中で、
「合」=最善の解というより高次な解決策を見つけていく
のはどうだろうか。

先の「大」「中」「小」の例えでいうなら、
「梯子をもらえないのが不平等」という意見は、「全員に同じ段数の梯子を配ってほしい」
という意見ではないことに気付けば、
「大」に1段、「中」に2段、「小」に3段の梯子を与えることにすれば、
「正」「反」が解決され「合」に至っている。

前回、現代文で頻出の論理構造として、「二項対立」を挙げたが、
その解決策として筆者がこの「弁証法的昇華」をもとに意見を提示することが多い。
「筆者はいったい何を言っているんだ?」と今まで思っていたキミ、
ぜひ「弁証法」という言葉を今日覚えていってほしい。

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